本田由紀さんは、東京大学大学院教育学研究科の教授で、教育社会学を専門とする研究者です。教育格差や能力主義、若者の就職などを長年研究してきました。この記事では、本田由紀さんがどんな人物なのか、今回なぜ注目されたのか、経歴や研究内容、古市憲寿さんとの関係まで紹介します。
東大・本田由紀教授「遺伝的要因」投稿に教え子・古市氏、三浦瑠麗氏ら苦言(ZAKⅡ)|dメニューニュース(NTTドコモ)
本田由紀とは?
本田由紀(ほんだ・ゆき)さんは、東京大学大学院教育学研究科の教授です。
専門は教育社会学で、学校教育だけを見るのではなく、教育と仕事、家庭、社会格差などの関係を研究してきました。
現在は東京大学で教授を務めるほか、日本教育学会の会長も務めています。
主な研究テーマは次の通りです。
- 学校から仕事への移行
- 若者の就職
- フリーター・非正規雇用
- 教育格差
- 家庭環境と教育
- 学歴社会
- 能力主義
- ジェンダー格差
- 大学教育と仕事の関係
本田さんの研究を簡単に表すと、「学校で学ぶことが、その後の仕事や人生とどう結びついているのか」を考えるものです。
特に知られているのが、能力主義への批判です。
日本社会では、試験の点数だけでなく、コミュニケーション能力や主体性、積極性、人間力など、人間の性格に近い部分まで評価されるようになっています。
本田さんは、こうした状況を「ハイパー・メリトクラシー」などの概念を使って論じてきました。
この問題を超簡単に説明
今回の問題を一言でいうと、本田由紀さんが皇族や麻生家について「遺伝的要因のおそろしさを感じる」と書き、「血筋や遺伝で人を悪く言っているように見える」と批判された騒動です。
本田さんはその後、「人の性格を遺伝で説明したのではない。血縁者を優遇する政治的な構造を批判した」と説明しました。
しかし古市憲寿さんらは、「それなら最初から血縁優遇を批判すればよく、“この人たちを見るたびに遺伝のおそろしさ”という書き方は問題がある」と反論しています。
さらに本田さんは、教育格差や能力主義を長年研究してきた教育社会学者です。
そのため、「生まれや属性で人を評価することを批判してきた本人が、“遺伝”という言葉を使ったのは矛盾していないか」という点まで問題になっています。
要するに、本人が言いたかった意味よりも、実際に書いた表現が強く問題視されているということです。
なぜ話題?
本田由紀さんが注目されたきっかけは、2026年9月1日のXへの投稿です。
本田さんは、三笠宮家の彬子女王と麻生家の血縁関係などに触れた投稿を引用し、
「この人たちを目にするたびに、遺伝的要因のおそろしさを感じる」
と投稿しました。
この表現に対して、「人の性格や価値を遺伝で評価しているように読める」、「血統差別ではないか」、「優生学的な表現を連想させる」といった批判が出ました。
さらに本田さんは、能力主義や生まれによる格差などを長年研究してきた教育社会学者です。
そのため、「本人が研究してきた内容と今回の表現が矛盾しているのではないか」という点も大きく問題視されました。
社会学者の古市憲寿さんも、本田さんの発言を厳しく批判しています。
古市さんは、本田さんが具体的な根拠を示さず、他人への否定的な評価を「遺伝的要因」に結びつけたとして、「教育社会学の敗北宣言に近い」という趣旨の指摘をしました。
一方、本田さんは9月5日に長文の説明を投稿しました。
本人によれば、「遺伝的要因」という言葉は、彬子女王の性格や能力について述べたものではないとしています。
本田さんの説明では、麻生太郎氏が血縁関係にある人物を優遇しようとする構造を批判したものでした。
つまり、本田さん側の主張は、「人間の性格を遺伝で説明したのではなく、血縁者を優遇する政治的な構造を批判した」というものです。
しかし批判する側からは、「それなら、なぜ『この人たちを目にするたびに』という表現を使ったのか」という反論も出ています。
文章だけを見ると、「この人たちを見る」から「遺伝的要因のおそろしさを感じる」へとつながって読めるためです。
常見陽平さんも、今回の表現について「なぜ遺伝なのか」「とても差別的に響いた」という趣旨で疑問を呈しています。
今回の問題は、個人のX投稿だけでは終わっていません。
教育学者の蒲生諒太氏は、日本教育学会に質問状を提出しました。
特定の人への否定的評価を遺伝や血統と結びつける表現について、教育学研究者や学会役員の発言としてどう扱うのかが問われています。
今回の騒動を短時間で整理した解説動画も公開されています。
また、本田由紀さんの発言と炎上の経緯を詳しく扱った動画もあります。
本田由紀のプロフィール
- 名前:本田由紀
- 読み方:ほんだ・ゆき
- 生年:1964年
- 職業:大学教授・教育社会学者
- 所属:東京大学大学院教育学研究科
- 役職:教授
- 専門:教育社会学
- 日本教育学会:会長
- 主な研究分野:教育格差、若者の就職、能力主義、家庭教育、ジェンダー格差など
- 日本学術会議:2014年から2020年まで会員
- 受賞歴:大佛次郎論壇賞・奨励賞
本田さんは東京大学を卒業後、東京大学大学院教育学研究科へ進み、教育学の博士号を取得しました。
1994年から日本労働研究機構の研究員を務めています。
2001年には東京大学社会科学研究所助教授となりました。
その後、2007年に東京大学大学院教育学研究科准教授、2008年から教授を務めています。
本田由紀の代表的な著書
本田さんは教育や社会問題について多くの著書を発表しています。
代表作の一つが、2005年の『若者と仕事―「学校経由の就職」を超えて』です。
高校や大学を卒業し、そのまま安定した会社へ就職するという仕組みが変化していく過程を分析しています。
2009年には、『教育の職業的意義―若者、学校、社会をつなぐ』を出版しました。
2020年には、『教育は何を評価してきたのか』を発表しています。
この本では、日本社会で「能力」「資質」「態度」といった言葉がどのように使われ、人を評価してきたのかを分析しています。
2021年には、『「日本」ってどんな国?』を出版しました。
国際比較データを使い、日本社会の特徴を考察しています。
2025年には、『「東大卒」の研究―データからみる学歴エリート』を編著しています。
東大卒業者について、家庭環境や親の学歴、ジェンダー、職業、年収などを分析した内容です。
古市憲寿との関係は?
今回の問題では、社会学者の古市憲寿さんとの関係も注目されました。
古市さんは若い頃、本田さんのゼミ周辺で学んでいます。
2010年に出版した『希望難民ご一行様』では、本田さんが「解説と反論」を担当しました。
古市さん自身も、本田さんには出版時に「何から何までお世話になった」としています。
そのため、今回の古市さんの批判は、もともと本田さんと対立していた人物によるものではありません。
むしろ、研究者として世話になった人物からの強い批判だったことが注目されました。
古市さんは、本田さんについて「なぜここまで先鋭化してしまったのだろう」という趣旨の発言もしています。
過去にも論争はあった?
本田さんは以前から、教育政策や格差、ジェンダー、政治、社会問題などについて積極的に発言してきました。
2021年には、歴史学者の呉座勇一氏による女性差別的な発言などを受けて公開されたオープンレターに、呼びかけ人として参加しています。
そのため今回、「他人の差別的な発言には厳しかったのに、自分の発言には『曲解だ』と反論するのか」という批判も出ました。
ただし、過去の問題と今回の投稿は別の出来事です。
過去の立場との矛盾を指摘する材料として取り上げられています。
本田由紀はどんな考えを持つ研究者?
本田さんは、教育格差や社会的な不平等の問題を長年研究してきました。
主に重視してきたテーマとして、次のようなものがあります。
- 教育格差の縮小
- 学歴や能力による過度な序列化への批判
- 若者の雇用安定
- ジェンダー格差の是正
- 教育費負担の軽減
- 社会的弱者への支援
政治や社会制度についても積極的に発言しており、リベラル・左派系の政策や論者と重なる主張もあります。
2022年には、日本共産党委員長だった志位和夫氏との対談も行いました。
ただし、日本共産党に所属する政治家ではありません。
本来の立場は、統計や社会調査などを使い、日本の教育、雇用、家庭の構造を分析する教育社会学者です。
まとめ
本田由紀さんは、東京大学大学院教育学研究科の教授で、日本教育学会会長を務める教育社会学者です。
教育格差や能力主義、若者の就職などを長年研究し、多くの著書を発表してきました。
2026年9月の「遺伝的要因」というX投稿をめぐり、古市憲寿さんをはじめ複数の論者から強い批判を受けています。
本人は血統差別の意図を否定していますが、研究者倫理や学会会長としての責任まで議論が広がっています。
今後の本人や日本教育学会の対応にも注目です。


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